受 章


井堀 利宏 教授


公共政策大学院・経済学研究科 井堀 利宏 教授
秋の紫綬褒章を受章

 井堀利宏教授は,長年にわたって財政分野における研究で多大な業績をあげられてきました。日本の財政学には複数のアプローチが存在しますが,そのなかでも井堀先生は,財政を近代経済学の手法をもって研究する公共経済学における日本の第一人者のひとりです。また先生は大学における教育にも尽力を惜しまず,かつての教え子たちは多くの主要大学で財政学や公共経済学の教育・研究を行っています。

 先生の研究は広範囲に及びますが,特に,世代間重複モデルを用いた財政が資本蓄積に与える効果,公共財の自発的供給モデルを用いた国際的政府間関係,および,日本の財政赤字と財政再建に関わる研究に大きな貢献があります。これら一連の研究は高く評価され,先生は,日経・経済図書文化賞(1984年),石橋湛山賞(2001年),全国銀行学術研究振興財団賞(2004年)など数々の受賞をされています。また先生の業績は海外でも高く評価され,それは公共経済学における主要な学術誌である,Journal of Public EconomicsInternational Tax and Public FinanceEuropean Journal of Political EconomyFinanz Archive 等の編集委員を歴任されていることからも伺えます。さらに,国内でも日本経済学会会長や日本財政学会代表常任理事(会長に相当)を務められ,我が国の財政・公共経済研究において中核的な役割を果たされてきました。

 また井堀先生の専門的知識は,日本の財政制度改革にも少なからぬ影響を及ぼしています。先生は,長年にわたって政府税制調査会委員,国税審議会委員,財政制度等審議会委員,郵政行政審議会委員など多くの政府審議会の委員を務められ,制度改革や税制改革の方向づけなど,我が国の財政政策上重要な諸課題に対して多大な社会的貢献を果たされています。

 以上のように,井堀先生は財政学や公共経済学における研究を発展させ,後進の研究者を指導し,かつ,模範となってきました。また,これら研究・教育における推進者としての役割に加え,実際の政策形成において果たされた役割も大きく,その功績はまことに顕著であると考えられます。

(平成23年 秋)
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