受 章


伊藤 隆敏 教授


公共政策大学院・経済学研究科 伊藤 隆敏 教授
春の紫綬褒章を受章

  伊藤隆敏教授はマクロ経済学、国際経済学、日本経済論の分野で長年にわたって多大な業績をあげています。彼の業績の一つの特徴は、例えば全米経済研究所主催の東アジア経済に関するセミナーシリーズ“NBER-East Asia Seminar on Economics”を編集した20年間にわたる20冊の書物に代表されるように、標準的な経済学の手法をもってアジアや日本経済の諸問題を分析し、しかもここに一流の欧米の経済学者とともに新進のアジアの経済学者も参加させ、同地域の経済研究についての一大フォーラムを作り上げたような国際性です。教育面でも、こうした国際性は東京大学大学院公共政策学連携研究部の海外主要大学との提携や、大学院経済学研究科の英語での講義プログラム“UTIPE”に結実しています。

 さらに、伊藤教授は米国ミネソタ大学、コロンビア大学、国際通貨基金等、多くの海外研究機関での教育、研究活動を進め、これらの組織での講義に彼の主要著作の一つであるThe Japanese Economy を使用し、米国の大学、学会における日本経済の正しい理解を促進してきました。

 伊藤教授の国際経済学の分野における研究のもう一つの特徴は非常にきめの細かい、たとえば為替レートや株価であれば、秒単位の取引価格に関するデータを用いて、資産価格に関する経済学の標準的な仮説を検証してみせたことです。その典型例は、資産価格が投資家が保有している情報を的確に織り込んで形成されるという効率的市場仮説が、こうした精緻なデータを分析すると必ずしも成立していないという実証結果です。このような結果はだいたい同時期に欧米の学者によっても発見されていますが、伊藤教授もその一翼を担ったことは高く評価されます。

 これらの業績に対して、昭和61年日経・経済図書文化賞を受賞していますし、こうした業績をベースに大蔵省で副財務官(大臣官房参事官)、また政府の経済財政諮問会議員を務めるなど現実の政策問題にも積極的に関与を進めてきています。このように、伊藤教授は、マクロ経済学、国際経済学における基礎的な研究・教育、日本・アジア経済の分析、その国際的普及、現実の政策への応用に尽くしてきており、その功績はまことに顕著です。

(平成23年 春)
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