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  大学院を修了する諸君へ

 
    卒業おめでとう。諸君は東京大学大学院に入学した時の感激を昨日のことのように覚えているでしょう。今日晴れて大学院を修了し学位を授与される日を迎え、入学した時とはまた違う感動を胸中に感じていることと思います。この間の諸君の努力、成長に心からの拍手を送ります。卒業生諸君を支えてこられた御家族の皆様もさぞかしお喜びのことと存じ上げます。御卒業まことにおめでとうございます。

  例年であれば安田講堂で東京大学学位記授与式が挙行され、続いて本研究科においても学位記伝達式、祝賀会が行われるのですが、今年は東北関東大震災により、こうした行事はすべて中止のやむなきに至りました。

  大変残念ではありますが、現下の非常時は、諸君が学んだ経済学は世の中にどのように貢献できるのか、経済とは一体何なのだろうか、こうしたことを改めて考える機会だと言うこともできます。晩年ケインズは次のような言葉を残しました。「<文明>ではなく<文明の可能性>の担い手であるエコノミストに乾杯。(1945年王立経済学会)」経済は文明そのものではなく、あくまでも<文明の可能性>である。つまり経済は文明をはぐくむ「縁の下の力持ち」だというわけです。科学・技術の研究でも医療でも芸術でもスポーツでも人間の活動のある所、必ず経済が存在します。災害からの復興も、もとよりそうした人間活動の一つです。

  恒例の学位記授与式無しに卒業する皆さん。諸君は生涯この年を忘れないでしょう。卒業する諸君は、この忘れ難い思い出を同一世代として共有することになるはずです。東京大学大学院で学んだことに誇りを持って、くれぐれも健康に注意し、諸君一人一人が専門的な知識を生かし世の中に貢献されることを期待しています。災害からの復興、さらにそれを越えて豊かな社会を築くことは、皆さん若い人たちの双肩にかかっているからです。力強く歩み始めて下さい。

  卒業おめでとう。

 
 

平成23年3月24日
東京大学大学院経済学研究科長
吉川 洋

 

 

 

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