受賞

大学院経済学研究科・経済学部 吉川 洋 名誉教授 文化功労者を受賞

吉川 洋 名誉教授

このたび、本学名誉教授の吉川洋先生が、マクロ経済研究や為替レートの決定メカニズムの解明に関する多大な功績により2023年度の文化功労者に選ばれました。

吉川先生は1978年にイェール大学でPh.D.を取得された後、ニューヨーク州立大学助教授、大阪大学助教授、東京大学経済学部助教授、東京大学経済学部教授を経て、1996年より東京大学大学院経済学研究科教授にご就任されました。この間、わが国のマクロ経済研究の第一人者として、ケインズ経済学の立場から景気循環理論と経済成長理論の両面で発展に重要な理論的貢献をされただけでなく、その日本経済への応用にも多大な成果を残されました。とくに、設備投資に関する理論分析の先駆けとなった研究、わが国の為替レートの長期的な決定メカニズムを解明した研究、および経済物理学的アプローチを応用した研究は、マクロ経済学研究の新潮流を開拓する成果として、世界的に高く評価されています。また、日本経済のマクロ分析に関する数多くの著作は、日本が短期的・中長期的に直面する課題を鋭く分析した成果として内外から高い評価を受けただけでなく、当時の政策決定に大きな影響を与えるものでした。

吉川先生は、長年わが国の経済学会活動をリードし、2002年には日本経済学会の会長になられました。また、2001年1月~2006年および2008年~2009年に内閣府経済財政諮問会議議員を務めるなど、数多くの政府の審議会等で活躍し、わが国の経済政策上重要な諸課題に対して多大な貢献を行われました。さらに、2009年からは東京大学大学院経済学研究科長を務め、学内行政でも大きな貢献をされました。

これまでに日経経済図書文化賞、サントリー学芸賞、エコノミスト賞、読売・吉野作造賞など数々の賞の受賞に輝いたほか、2010年には紫綬褒章も受章されています。このたびの吉川先生のご顕彰を心からお慶び申し上げるとともに、先生の益々のご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。

 

(大学院経済学研究科・経済学部 福田慎一)
(令和5年 秋)