受章

大学院経済学研究科・経済学部 西村 淸彦 教授 秋の紫綬褒章を受章

西村 淸彦 教授

 西村淸彦教授は経済理論の分野で,国内総生産やインフレ率等の関係を扱う伝統的なマクロ経済学に,厳密なミクロ基礎を与える理論モデルを世界に先駆けて発表し,マクロ経済学とミクロ経済学の接合という新しい研究分野の開拓に大きく貢献されました。また,予測できないような出来事が実際に起こってしまうという,経済に存在する本源的な不確実性が,人々の行動にどのような影響を及ぼすかについて初めて理論的に明らかにするという世界的な研究業績を挙げました。さらに,実証研究では,日本および世界の経済統計を駆使して日本経済の構造問題の解明に尽力されました。特に,バブル崩壊後の金融危機に関する研究では,市場経済の基本的機能が失われたことを明らかにし,この分野での日本経済研究に転換点をもたらしました。

 これらの業績は内外で高く評価され,西村教授は,1993年日経・経済図書文化賞,1997年毎日新聞社エコノミスト賞,1998年中原賞,2005年日本不動産学会・学界著作賞,2006年テレコム社会科学本賞など数々の受賞をされています。

 西村教授は,内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官,日本銀行審議委員,日本銀行副総裁に加え,統計委員会委員長,金融審議会委員,統計審議会委員などの要職を歴任され,経済学の現実の政策決定への応用の面でも大きく貢献されました。さらに2013年10月から本年9月まで東京大学大学院経済学研究科長を務められました。経済学の研究,教育,そしてその社会への普及の各面において西村教授は多大な貢献をされました。

(大学院経済学研究科教授 渡辺努)
(平成27年 秋)